島津の殿様が愛した“闘う”…鶏?
さつま若しゃも、さつま地鶏、そして黒さつま鶏。鹿児島を代表する地鶏すべてに共通するのが、鹿児島で古くから愛されてきた「薩摩鶏」です。日本三大地鶏のひとつで天然記念物でもある「薩摩鶏」は、古くから観賞用、そして闘鶏用として鹿児島で飼育されてきた日本固有の鶏。足が長く、尾羽は長く美しく、鋭い眼光で気性が激しく、闘鶏に相応しい力強い鶏です。飼育の歴史は古く、およそ800年前、薩摩藩祖島津忠久の時代から飼われていたと言われています。また、けづめに鋭利な両刃の剣を付けて闘わせたことから、剣付鶏(けんつけどり)や闘鶏(とどり)とも呼ばれていました。鹿児島県ではより安全でより高品質な肉用鶏を目指し、由緒正しき薩摩鶏を種鶏に、さつま若しゃも、さつま地鶏、黒さつま鶏を生み出してきました。
“本物”を追求する、鹿児島県の食材
鹿児島県は黒豚や黒牛をはじめ、全国に誇れる食材で溢れています。それは、古くから時間と手間をかけ「本物のおいしさ」にこだわり続けてきたから。もちろん、その“本物”にかける精神は、今の時代にも受け継がれています。かごしま地鶏も、“本物の精神”が活きた、まさに世界に誇れる食材。3ブランドの種鶏となる薩摩鶏は、鹿児島県の畜産試験場が昭和30年代から62世代にも渡って維持・改良を続けています(2011年9月現在)。もちろん、さつま若しゃも、さつま地鶏、黒さつま鶏も、それぞれ長い歳月をかけて生み出した地鶏。それぞれ、高い基準を設けた生産管理体制のもと、大切に育てられています。開発から生産に至るまで、鹿児島県の“本物”にかける想いが、かごしま地鶏をおいしく安全な食材にしています。
地鶏が地鶏であるために。
“地鶏”とよく口にはするものの「普通の“鶏”と、どこが違うの?」という疑問を抱く方も多いのでは。地鶏とは日本農林規格(特定JAS)において、日本に明治以前から飼養されている在来種(薩摩鶏、比内地鶏など39種)の純系、または在来種が素びなの親鳥に用いられ、在来種の血が50%以上含まれるものであり、飼育期間が75日以上、28日齢以降の平飼いと、1㎡当たり10羽以下で飼育されたものと定められています(平飼いとは、鶏舎内または屋外において鶏が床面(地面)を自由に運動できるようにして飼育する方法)。鹿児島県のさつま若しゃも、さつま地鶏、黒さつま鶏は、この定義をすべて満たしています。